マイク・録音環境の超入門

「声はいいのに音が惜しい」を卒業。機材の要点と部屋作り、ゲイン調整の基本を、初めての宅録向けに整理します。高価な機材より“使い方の正確さ”が音質を決めます。

1. マイク選び:ダイナミック vs コンデンサー

ダイナミックは頑丈で環境ノイズに強く、近接で太い音。コンデンサーは繊細で解像度が高い代わりに部屋鳴りを拾いやすい。静かな部屋がないなら、まずダイナミック+近接運用が安全です。指向性は単一指向(カーディオイド)が基本。

2. オーディオインターフェース:入出力とゲインの“余裕”

必要なのは“十分なゲインと安定ドライバ”。入力はXLR、48V(コンデンサー用)、ヘッドホン出力が安定しているモデルを選びます。レイテンシはモニター時の違和感に直結。ダイレクトモニター機能があると便利。

3. 部屋鳴り対策:吸音・遮音・反射の三本柱

まずは“反射の初期反射点”を潰す。マイク背面・左右・床に吸音材や厚手の布を配置。クローゼット録音は有効ですが、こもりすぎに注意。鼻声に聞こえる場合は、口の真正面ではなく斜め上から狙います。

4. マイク運用:距離・角度・ポップガード

距離は5〜10cmが基本。破裂音対策にポップガード、摩擦音対策にウインドスクリーン。角度は口の正面を外し、わずかにオフ軸で“息”を逃がします。一定距離を保つため、椅子とマイク位置を物理的に固定しましょう。

5. ゲイン調整:-12〜-6dBFSの“余白”

最も大きい声でメーターが-6dBFS付近、通常は-12dBFS周辺に収まるよう設定。収録後のノーマライズより、録る時点のレンジ設計が最重要です。クリップ(0dBFS超え)は修復できません。

6. ノイズ管理:床・机・電源

デスクの振動はショックマウントで回避。PCファン音は距離を取り、吸音で目隠し。電源ノイズはタップを分け、ケーブルを束ね過ぎない。録音前の無音3秒を取って、常時ノイズを確認・記録します。

まとめ:買い足す前に“整える”

機材は“整った使い方”で真価が出ます。距離・角度・ゲイン・部屋の初期反射。まずはここを固め、必要に応じて機材を段階的に追加しましょう。